皮膚科医のお薬/治療解説ブログ

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【皮膚科医解説】「コムクロシャンプー」と「デルモベートスカルプローション」の違い;頭部乾癬の新薬登場

今回の記事では、2017年に頭部の乾癬に対して新発売された「コムクロシャンプー」について、「デルモベートスカルプローション」と比較しながら解説します。

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(まず「デルモベートスカルプローション」について詳しく知りたい方は、下記リンク先を御覧ください。)

hifukai.hatenablog.com

 

 

「コムクロシャンプー」と「デルモベートスカルプローション」の共通点

デルモベートスカルプローションもデルモベートスカルプローションも、主成分は全く一緒です。

「クロベタゾールプロピオン酸エステル」という「副腎皮質ステロイド」を0.05%含みます。

そのため、効能は基本的に一緒。

いずれも、皮膚の炎症を抑えるために用いる「ステロイド外用薬」に分類されます。

ステロイド外用薬は強さに応じて5つのランクに分類されますが、最強の“I群 Strongest”に該当する塗り薬です。

 

Ⅰ群 Strongest (最強) ← コムクロシャンプーはここ!

Ⅱ群 Very strong (とても強い)

Ⅲ群 Strong (強い)

Ⅳ群 Medium (穏やか)

Ⅴ群 Weak (弱い)

 

 

どちらも最強ランクの薬ですので、頭の乾癬に悩む方に対して強い効果が期待できます。 

 

「コムクロシャンプー」と「デルモベートスカルプローション」の違い

コムクロシャンプーとデルモベートスカルプローションの違いは、主成分以外の添加物です。

それにより、使用感が大きく異なり、使用法も全く違うものになりました。

「コムクロシャンプー」はまさしく「シャンプー」です。

頭に塗ってから15分たったら、泡立ててシャワーで流します。

次の解説スライドをみるとイメージが湧きやすいと思います。

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 かなり変わったお薬ですよね。

なんでシャンプータイプなのかというと、副作用を減らすため。

先程「デルモベートスカルプローションは最強のステロイド」と言いました。

そのため、デルモベートスカルプローションには次のような副作用があります。

 

  • 一時的な刺激感 0.9%
  • 毛のう炎・せつ(毛穴の感染症) 0.7%
  • 長い刺激感 0.5%

 

一方、コムクロシャンプーは安全性を確かめる試験で副作用が0だったそうです。

塗った後に短時間で洗い流すので、皮膚への刺激が少ないからだと思われます。

このような使用法を「ショート・コンタクト・セラピー」といいます。 

 

なお、お値段は3割負担の方で、

 

・デルモベートスカルプローション 10ml 約75円

・マイアロンローション 10ml 約31円

 ※デルモベートスカルプローションのジェネリック(後発)医薬品

・コムクロシャンプー 125ml 約1023円

 

です。

コムクロシャンプーが高そうに見えます。

ただ、これはシャンプー代わりにも使えますからね。

値段を単純に比較するのは難しいです。

コムクロシャンプー1本で2週間は持つので、1ヶ月あたり約2000円。

シャンプー代込みとすると、そこまで高くはない印象です。

 

コムクロシャンプーの満足度

シャンプータイプという全く新しいお薬なので、気になるのは患者さんの満足度。

個人的には

 

塗ってから15分間待つのって面倒じゃないのか?

 

と思うのですが、どうなんでしょう?

ただ、販売会社のマルホが発表している購入者アンケートによると、

 

80.5%の方が今後も使い続けたいと回答

 

しています。

なかなか良い数字に感じますね。

デルモベートスカルプローションに満足していない方、副作用などで使えない方には良い選択肢となりそうです。

 

まとめ

では、最後にまとめです。

頭部の乾癬患者さんは選択肢に入れておくと良さそうです。

 

コムクロシャンプーは、デルモベートスカルプローションと主成分は一緒。

コムクロシャンプーはシャンプー代わりに使える新型のお薬。

コムクロシャンプーは1ヶ月あたりで約2000円。

満足度は80.5%。ライフスタイルに合わせた選択を。