皮膚科医のお薬/治療解説ブログ

とある皮膚科医が皮膚科疾患の薬や治療についてわかりやすく解説します

【皮膚科医解説】「コムクロシャンプー」と「デルモベートスカルプローション」の違い;頭部乾癬の新薬登場

今回の記事では、2017年に頭部の乾癬に対して新発売された「コムクロシャンプー」について、「デルモベートスカルプローション」と比較しながら解説します。

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(まず「デルモベートスカルプローション」について詳しく知りたい方は、下記リンク先を御覧ください。)

hifukai.hatenablog.com

 

 

「コムクロシャンプー」と「デルモベートスカルプローション」の共通点

デルモベートスカルプローションもデルモベートスカルプローションも、主成分は全く一緒です。

「クロベタゾールプロピオン酸エステル」という「副腎皮質ステロイド」を0.05%含みます。

そのため、効能は基本的に一緒。

いずれも、皮膚の炎症を抑えるために用いる「ステロイド外用薬」に分類されます。

ステロイド外用薬は強さに応じて5つのランクに分類されますが、最強の“I群 Strongest”に該当する塗り薬です。

 

Ⅰ群 Strongest (最強) ← コムクロシャンプーはここ!

Ⅱ群 Very strong (とても強い)

Ⅲ群 Strong (強い)

Ⅳ群 Medium (穏やか)

Ⅴ群 Weak (弱い)

 

 

どちらも最強ランクの薬ですので、頭の乾癬に悩む方に対して強い効果が期待できます。 

 

「コムクロシャンプー」と「デルモベートスカルプローション」の違い

コムクロシャンプーとデルモベートスカルプローションの違いは、主成分以外の添加物です。

それにより、使用感が大きく異なり、使用法も全く違うものになりました。

「コムクロシャンプー」はまさしく「シャンプー」です。

頭に塗ってから15分たったら、泡立ててシャワーで流します。

次の解説スライドをみるとイメージが湧きやすいと思います。

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 かなり変わったお薬ですよね。

なんでシャンプータイプなのかというと、副作用を減らすため。

先程「デルモベートスカルプローションは最強のステロイド」と言いました。

そのため、デルモベートスカルプローションには次のような副作用があります。

 

  • 一時的な刺激感 0.9%
  • 毛のう炎・せつ(毛穴の感染症) 0.7%
  • 長い刺激感 0.5%

 

一方、コムクロシャンプーは安全性を確かめる試験で副作用が0だったそうです。

塗った後に短時間で洗い流すので、皮膚への刺激が少ないからだと思われます。

このような使用法を「ショート・コンタクト・セラピー」といいます。 

 

なお、お値段は3割負担の方で、

 

・デルモベートスカルプローション 10ml 約75円

・マイアロンローション 10ml 約31円

 ※デルモベートスカルプローションのジェネリック(後発)医薬品

・コムクロシャンプー 125ml 約1023円

 

です。

コムクロシャンプーが高そうに見えます。

ただ、これはシャンプー代わりにも使えますからね。

値段を単純に比較するのは難しいです。

コムクロシャンプー1本で2週間は持つので、1ヶ月あたり約2000円。

シャンプー代込みとすると、そこまで高くはない印象です。

 

コムクロシャンプーの満足度

シャンプータイプという全く新しいお薬なので、気になるのは患者さんの満足度。

個人的には

 

塗ってから15分間待つのって面倒じゃないのか?

 

と思うのですが、どうなんでしょう?

ただ、販売会社のマルホが発表している購入者アンケートによると、

 

80.5%の方が今後も使い続けたいと回答

 

しています。

なかなか良い数字に感じますね。

デルモベートスカルプローションに満足していない方、副作用などで使えない方には良い選択肢となりそうです。

 

まとめ

では、最後にまとめです。

頭部の乾癬患者さんは選択肢に入れておくと良さそうです。

 

コムクロシャンプーは、デルモベートスカルプローションと主成分は一緒。

コムクロシャンプーはシャンプー代わりに使える新型のお薬。

コムクロシャンプーは1ヶ月あたりで約2000円。

満足度は80.5%。ライフスタイルに合わせた選択を。

 

【皮膚科医解説】「デルモベートスカルプローション」と「デルモベート軟膏」の違い;頭部はローションで!

今回の記事では「デルモベートスカルプローション」について、「デルモベート軟膏」と比較しながら解説します。

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(まず「デルモベート軟膏」について詳しく知りたい方は、下記リンク先を御覧ください。)

hifukai.hatenablog.com

 

 

「デルモベートスカルプローション」と「デルモベート軟膏」の共通点

デルモベートスカルプローションもデルモベート軟膏も、主成分は全く一緒です。

「クロベタゾールプロピオン酸エステル」という「副腎皮質ステロイド」を0.05%含みます。

そのため、効能は基本的に一緒。

いずれも、皮膚の炎症を抑えるために用いる「ステロイド外用薬」に分類されます。

ステロイド外用薬は強さに応じて5つのランクに分類されますが、最強の“I群 Strongest”に該当する塗り薬です。

 

Ⅰ群 Strongest (最強) ← デルモベートスカルプローションはここ!

Ⅱ群 Very strong (とても強い)

Ⅲ群 Strong (強い)

Ⅳ群 Medium (穏やか)

Ⅴ群 Weak (弱い)

 

ちなみに、1gあたりのお値段もほぼ一緒。

3割負担の方の場合、デルモベート軟膏5gが約37円、デルモベートスカルプローションが約75円で手に入ります。

なお、デルモベート軟膏にもデルモベートスカルプローションにもジェネリック(医薬品)があります。

たとえば、デルトピカ軟膏5gは約14円、マイアロンローションは約31円です。

 

「デルモベートスカルプローション」と「デルモベート軟膏」の違い

デルモベートスカルプローションとデルモベート軟膏の違いは、主成分以外の添加物です。

それにより、使用感に大きな差が出ます。

ローションは軟膏に比べてべたつかずに使用感が良いです。

一方で、軟膏よりも刺激が強くびらんや傷には使えないという欠点があります。

そのため、デルモベートスカルプローションの位置づけは、デルモベート軟膏の補助的なものにとどまります。

具体的なデルモベートスカルプローションの適応疾患は、

 

・頭部の湿疹/皮膚炎

・頭部の乾癬

 

のみです。

軟膏やクリームを頭部に塗ると、髪の毛にくっついてしまって不便ですよね。

そこで、頭部の症状のみはデルモベートスカルプローションで対応しようということです。

湿疹や乾癬の患者さんだと、体にはデルモベート軟膏を、頭にはデルモベートスカルプローションを処方することがよくあります。

 

まとめ

では、最後にまとめです。

頭の中の強い皮膚症状に悩む方には、デルモベートスカルプローションは有力な選択肢ですよ。

 

デルモベートスカルプローションは、軟膏と主成分/価格は一緒。

デルモベートスカルプローションは髪の毛にくっつかず、頭部の病変に塗りやすい。

 

【皮膚科医解説】ジフラール/ダイアコート軟膏とデルモベート軟膏の違いは?Strongestだけど副作用が少なめ

今回の記事では、「ジフラール軟膏」と「ダイアコート軟膏」について解説します。

 

フラール軟膏/ダイアコート軟膏とは

フラール軟膏とダイアコート軟膏は、皮膚科の塗り薬のうち「副腎皮質ステロイド薬」に分類されます。

いずれも主成分としてジフロラゾン酢酸エステルが0.05%配合されており、販売する会社が違うだけで基本的に同じ薬です。

ステロイド外用薬」には、皮膚の炎症を強く抑える作用があります。

そのため、湿疹・皮膚炎など炎症性の皮膚疾患によく用いられます。

この「ステロイド外用薬」は作用の強さにより、下記の5つのランクに分けられます。

 

Ⅰ群 Strongest (最強)
Ⅱ群 Very strong (とても強い)
Ⅲ群 Strong (強い)
Ⅳ群 Medium (穏やか)
Ⅴ群 Weak (弱い)

 

フラール軟膏/ダイアコート軟膏は、この中で“最強”のStrongestに該当するお薬です。

 

Ⅰ群 Strongest (最強) ← ジフラール軟膏とダイアコート軟膏はここ!
Ⅱ群 Very strong (とても強い)
Ⅲ群 Strong (強い)
Ⅳ群 Medium (穏やか)
Ⅴ群 Weak (弱い)

 

強力な薬ですので、Ⅱ群以下の塗り薬では効かない“重症”アトピー、虫刺され、乾癬、ケロイド、 円形脱毛症などに用いられます。

患部に塗る回数は、1日に1,2回程度です。

症状が悪化している時期には1日2回、それ以外の時期には1日1回塗るのが良いとされます*1

 

フラール軟膏/ダイアコート軟膏の強さ

フラール軟膏/ダイアコート軟膏の有効性を、同じⅠ群 Strongest(最強)クラスであるデルモベート軟膏と比較した実験があります*2

それによると、

  • フラール軟膏/ダイアコート軟膏の効果は、デルモベート軟膏に劣らない。

という結果でした。

 

デルモベート軟膏は以前に紹介したように、Ⅲ群 Strong(強い)クラスのステロイド外用薬と比較すると、

 

  • フルコート軟膏の18.7倍
  • リンデロンV軟膏の5.2倍

 

という非常に強力な薬です。

したがって、ジフラール軟膏/ダイアコート軟膏も同様に強力な薬だと言うことが出来ます。

hifukai.hatenablog.com

 

ただ、実際に処方している皮膚科医としての実感としては、

 

フラール軟膏/ダイアコート軟膏はデルモベート軟膏よりは効果が弱いんじゃないかなぁ。

 

 

という印象があります。

メーカーによって添加物が変わるので、その影響かもしれませんね。

 

フラール軟膏/ダイアコート軟膏の副作用

フラール軟膏/ダイアコート軟膏で頻度の高い副作用は、

 

  • 毛のう炎/せつ(毛穴の感染症) 0.41%
  • 皮膚萎縮(皮膚が薄くなる) 0.28%
  • ステロイド座瘡(ニキビ) 0.19%

 

です。
また、重篤な副作用としては、白内障緑内障という眼の病気があがっています。

眼の周囲に塗るのは危ないですね。

 

また、ジフラール軟膏/ダイアコート軟膏の副作用の出やすさを、同じⅠ群 Strongest(最強)クラスのデルモベート軟膏と比較した研究があります*3

それによると、

 

フラール軟膏/ダイアコート軟膏はデルモベート軟膏よりも

  • 皮膚が薄くなることが有意に少ない。
  • 皮膚の赤みが透けて見えるようになりにくい。

 

という結果でした。

デルモベート軟膏に比べるとやや安全性は高そうです。

とはいえ強い薬には違いないので、副作用には十分な注意が必要です。

 

原則として妊婦や授乳婦には使用しないことが望ましいとされます。

また、顔などの敏感な部位に塗ったり、子供に塗ったりする際は気をつけないといけません。

皮膚科医の指導に従いながら正しく使用することが大切です。

 

フラール軟膏/ダイアコート軟膏のお値段とジェネリック医薬品

フラール軟膏/ダイアコート軟膏 5gの価格は、3割負担の方の場合でいずれも約24円です。

デルモベート軟膏が約37円なので、ジフラール軟膏/ダイアコート軟膏の方が安いですね。

 

加えて、ジフラール軟膏/ダイアコート軟膏にはジェネリック(後発)医薬品があります。

これを用いると、費用を抑えることが可能です。

3割負担のケースで、ジフラール軟膏とジェネリック医薬品の金額を比較してみましょう。

軟膏5g 1本あたりの金額の目安は、

 

 

「ジフロラゾン酢酸エステル軟膏0.05%「YD」」に変更すると、金額が半分程度で済みます

ただ、塗り薬はジェネリック医薬品の効き目や副作用が先発薬と同じとは限りません。

ジェネリック医薬品が合わない場合は、「ジフラール軟膏」か「ダイアコート軟膏」に戻すのが無難です。

 

フラール軟膏/ダイアコート軟膏の市販薬

フラール軟膏やダイアコート軟膏に相当する市販薬はありません。

副作用が出やすい強いお薬ですから、医師の診察無しには使えないわけですね。

 

まとめ

最後にジフラール軟膏/ダイアコート軟膏についてのまとめです。

効き目の強い良いお薬ですが、副作用に気をつけて使うようにしましょう。

 

  • フラール軟膏/ダイアコート軟膏は“最強”ランクのステロイド外用薬。
  • 重症のアトピー、虫刺されなどによく効く。
  • 皮膚が薄くなる、毛穴の感染症などの副作用が出やすい。
  • デルモベート軟膏よりはやや副作用が出にくそう。
  • お値段は1本約24円。ジェネリックなら約半額。

 

 

 

*1:Green C, et al.  : Br J Dermatol. 2005 ; 152 : 130-141.

*2:水野 惇子:薬理と治療. 1983; 11:5045.

*3:水野 惇子:薬理と治療. 1983; 11:5043.

【皮膚科医解説】「デルモベートクリーム」と「デルモベート軟膏」の違い;ひっかき傷にクリームはダメ!

今回の記事では、「デルモベートクリーム」について、「デルモベート軟膏」と比較しながら解説します。

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(まず「デルモベート軟膏」について詳しく知りたい方は、下記リンク先を御覧ください。)

hifukai.hatenablog.com

 

 

「デルモベートクリーム」と「デルモベート軟膏」の共通点

デルモベートクリームもデルモベート軟膏も、主成分は全く一緒です。

「クロベタゾールプロピオン酸エステル」という「副腎皮質ステロイド」を0.05%含みます。

そのため、効能は基本的に一緒。

いずれも、皮膚の炎症を抑えるために用いる「ステロイド外用薬」に分類されます。

ステロイド外用薬は強さに応じて5つのランクに分類されますが、最強の“I群 Strongest”に該当する塗り薬です。

 

Ⅰ群 Strongest (最強) ← デルモベートクリームはここ!

Ⅱ群 Very strong (とても強い)

Ⅲ群 Strong (強い)

Ⅳ群 Medium (穏やか)

Ⅴ群 Weak (弱い)

 

強力な薬ですので、Ⅱ群以下の塗り薬では効かない“重症”のアトピー、虫刺され、乾癬、ケロイド、 円形脱毛症などに用いられます。

 

ちなみに、お値段は3割負担の方であれば、どちらも1本で37円程度。

またジェネリック(後発)医薬品の「デルトピカ軟膏」や「マイアロンクリーム」などに変更すれば、14円程度とお安いです。

費用面では軟膏もクリームも変わりませんね。

(デルモベート軟膏のジェネリック医薬品についてはこちら↓)

hifukai.hatenablog.com

 

「デルモベートクリーム」と「デルモベート軟膏」の違い

デルモベートクリームとデルモベート軟膏の違いは、主成分以外の添加物です。

それにより、使用感に大きな差が出ます。

一般的に、クリームと軟膏の違いは次のように言われています。

 

  • べとつき感:軟膏 大 > クリーム 小
  • 刺激の強さ:軟膏 小 < クリーム 大
  • 皮膚への染み込みやすさ 軟膏 小 < クリーム 大

 

そのため、「デルモベート軟膏のべとつきが嫌!」という患者さんは、デルモベートクリームに変更すると良いかもしれません。

 

デルモベートクリームの注意点

上で書いたように、クリームには刺激性があります。

したがって、次のような場所には向いていません。

 

・傷がある

・グジュグジュしている(びらん・潰瘍)

 

ここで問題になるのは、そもそもデルモベートを用いるのはかなり重症のアトピーなどの方なので、かゆみによる“ひっかき傷(掻爬痕)”を生じているケースが多いこと。

傷があるとクリームは使用できませんから、デルモベートクリームを塗ってはいけないケースも多くあります。

 

まとめ

では、最後にまとめです。

デルモベート軟膏とデルモベートクリームを上手く使い分けてくださいね。

 

デルモベートクリームは、軟膏と主成分/価格は一緒。

デルモベートクリームの方がべたつかない。

ひっかき傷があるところにはデルモベートクリームは使えない。

 

【皮膚科医解説】「デルトピカ軟膏」はデルモベート軟膏の半額!ジェネリック医薬品の違いは?

今回の記事では、「デルトピカ軟膏」について解説します。

 

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「デルトピカ軟膏」と「デルモベート軟膏」の共通点

「デルトピカ軟膏」は「デルモベート軟膏」のジェネリック(後発)医薬品として開発されました。
いずれも、「クロベタゾールプロピオン酸エステル」という「副腎皮質ステロイド」を主成分として0.05%含みます。
皮膚の炎症を抑えるために用いる「ステロイド外用薬」はその強さに応じて5つのランクに分けられますが、デルトピカ軟膏とデルモベート軟膏はその中でも最強の“I群 Strongest”に該当。

デルトピカ軟膏の効果がデルモベート軟膏に劣らないことは、実験で確かめられています。

 

Ⅰ群 Strongest (最強) ← デルトピカ軟膏もデルモベート軟膏もここ!

Ⅱ群 Very strong (とても強い)

Ⅲ群 Strong (強い)

Ⅳ群 Medium (穏やか)

Ⅴ群 Weak (弱い)

 

 

強力な薬ですので、デルトピカ軟膏もデルモベート軟膏も、Ⅱ群以下の塗り薬では効かない“重症”のアトピー、虫刺され、乾癬、ケロイド、 円形脱毛症などに用いられます。

 

「デルトピカ軟膏」と「デルモベート軟膏」の違い

デルトピカ軟膏とデルモベート軟膏にはいくつか異なる点があります。

 

その1つ目が販売している製薬メーカーです。

デルモベート軟膏は、「グラクソ・スミスクライン社」というイギリスの大手企業が開発。

一方のデルトピカ軟膏は、「岩城製薬」という日本橋の老舗企業が製造しています。

 

2つ目の違いは、軟膏に含まれる添加物。

主要成分の「クロベタゾールプロピオン酸エステル」自体は一緒ですが、添加物の種類はメーカーによってバラバラです。

そのため、「デルモベート軟膏は問題なく使えたけど、デルトピカ軟膏を塗るとかぶれる。」といったことが起こりえます

逆に「デルトピカ軟膏は問題ないけど、デルモベート軟膏を塗ると痛い。」というケースもありえますね。

そのため、ジェネリック医薬品のデルトピカ軟膏との相性が悪い方は、デルモベート軟膏に戻すか、他のジェネリック医薬品を試すのが良いです。

参考までに、同じ価格である他のジェネリック医薬品としては、

 

  • クロベタゾールプロピオン酸エステル軟膏0.05%「タイヨー」
  • マイアロン軟膏
  • デルスパート軟膏
  • マハディ軟膏
  • グリジール軟膏

 

があります。

 

3つ目の違いは、お値段。

3割負担のサラリーマンの場合、軟膏5g 1本の自己負担額の目安は、

 

  • デルモベート軟膏  37円
  • デルトピカ軟膏 14円

 

値段が半分以下になりますから、なかなか大きな差です。

デルトピカ軟膏を問題なく使える患者さんの場合は、先発医薬品のデルモベート軟膏を使うよりもお得だと言えます。

 

まとめ

では、最後にまとめです。

デルトピカ軟膏に限らず、ジェネリック医薬品を賢く使えると良いですね。

 

  • 「デルトピカ軟膏」は「デルモベート軟膏」のジェネリック医薬品
  • 両方とも「ステロイド外用薬」の中で最強クラス。
  • 添加物に差があり、どちらかが体質に合わない患者さんも。
  • 「デルトピカ軟膏」は「デルモベート軟膏」の半額以下。

 

なお、デルモベート軟膏について詳しく知りたい方はこちら↓の記事をどうぞ。

hifukai.hatenablog.com

【皮膚科医解説】「デルモベート軟膏」は強さ最強のステロイド外用薬!副作用に注意を

今回の記事では、「デルモベート軟膏」について解説します。

 

https://gskpro.com/content/dam/global/hcpportal/ja_JP/products-info/dermovate/dermovate_oni-img-patient.jpg

デルモベート軟膏とは

デルモベート軟膏は、皮膚科の塗り薬のうち「副腎皮質ステロイド薬」に分類されます。

ステロイド外用薬」には、皮膚の炎症を強く抑える作用があります。

そのため、湿疹・皮膚炎など炎症性の皮膚疾患によく用いられます。

この「ステロイド外用薬」は作用の強さにより、下記の5つのランクに分けられます。

 

Ⅰ群 Strongest (最強)
Ⅱ群 Very strong (とても強い)
Ⅲ群 Strong (強い)
Ⅳ群 Medium (穏やか)
Ⅴ群 Weak (弱い)

 

デルモベート軟膏は、この中で“最強”のStrongestに該当するお薬です。

 

Ⅰ群 Strongest (最強) ← デルモベート軟膏はここ!
Ⅱ群 Very strong (とても強い)
Ⅲ群 Strong (強い)
Ⅳ群 Medium (穏やか)
Ⅴ群 Weak (弱い)

 

強力な薬ですので、Ⅱ群以下の塗り薬では効かない“重症”アトピー、虫刺され、乾癬、ケロイド、 円形脱毛症などに用いられます。

患部に塗る回数は、1日に1,2回程度です。

症状が悪化している時期には1日2回、それ以外の時期には1日1回塗るのが良いとされます*1

 

デルモベート軟膏の強さ

デルモベート軟膏の強さを、Ⅲ群 Strong(強い)クラスのステロイド軟膏と比較した実験があります*2
それによると、デルモベート軟膏の効果は

  • フルコート軟膏の18.7倍
  • リンデロンV軟膏の5.2倍

です。とても強い作用があると言えます。

 

また、デルモベート軟膏の有効性を、同じⅠ群 Strongest(最強)クラスであるジフラール軟膏と比較した実験があります*3

それによると、

  • デルモベート軟膏とジフラール軟膏の効果に差はない。

という結果でした。

ただ、実際に処方している皮膚科医としての実感としては、

 

デルモベート軟膏はすべてのステロイド外用薬の中で一番効くんじゃないかなぁ。

 

という印象があります。

そのためか、Strongestランクのステロイド外用薬の中で最も売れているのは、このデルモベート軟膏です。

 

デルモベート軟膏の副作用

デルモベート軟膏で頻度の高い副作用は、

 

  • 皮膚萎縮(皮膚が薄くなる) 1.0%
  • 毛のう炎/せつ(毛穴の感染症) 0.6%
  • 毛細血管拡張(血管が皮膚から透けて見える) 0.5%

 

です。
また、重篤な副作用としては、白内障緑内障という眼の病気があがっています。

眼の周囲に塗るのは危ないですね。

 

また、デルモベート軟膏の副作用の出やすさを、同じⅠ群 Strongest(最強)クラスのジフラール軟膏と比較した研究があります*4

それによると、

 

デルモベート軟膏はジフラール軟膏よりも

  • 皮膚が有意に薄くなりやすい。
  • 皮膚の赤みが透けて見えやすい。

 

という結果でした。

副作用には十分な注意が必要です。

 

デルモベート軟膏の注意点

デルモベート軟膏は強い薬であるだけに、国内外でいくつか注意喚起が出されています。
主なものをまとめると、

 

  • 治療は4週間を超えて継続しないこと。
  • 1週間の最大投与量は50gを超えないこと。
  • 小児への投与は極力5日以内にとどめること。
  • 顔面への使用は極力5日以内にとどめること。
  • 妊婦に対しては使用しないことが望ましい。

 

もちろんこれらは原則であり、例外もあります。

皮膚科医の指導に従いながら正しく使用しましょう。

自己判断で顔に塗ったり子供に塗ったりはしないでください。

 

デルモベート軟膏のお値段とジェネリック医薬品

デルモベート軟膏 5gの価格は、3割負担の方の場合で約37円です。

また、デルモベート軟膏にはジェネリック(後発)医薬品があります。

これを用いると、費用を抑えることが可能です。

3割負担のケースで、デルモベート軟膏とジェネリック医薬品の金額を比較してみましょう。

軟膏5g 1本あたりの金額の目安は、

 

  • デルモベート軟膏(GSK)  37円
  • ソルベガ軟膏(久光)  31円
  • デルトピカ軟膏(岩城) 14円
  • マイアロン軟膏(前田) 14円
  • グリジール軟膏(佐藤) 14円
  • マハディ軟膏(東光) 14円
  • デルスパート軟膏(佐藤) 14円
  • クロベタゾールプロピオン酸エステル軟膏0.05%「タイヨー」 14円

 

「デルトピカ軟膏」や「マイアロン軟膏」に変更すると、金額が半分程度で済みます。ただ、塗り薬はジェネリック医薬品の効き目や副作用が先発薬と同じとは限りません。ジェネリック医薬品が合わない場合は、「デルモベート軟膏」に戻すのが無難です。

 (デルトピカ軟膏について詳しく知りたい方はこちら↓)

hifukai.hatenablog.com

 

デルモベート軟膏の市販薬

デルモベート軟膏に相当するような市販薬はありません。

副作用が出やすい強いお薬ですから、医師の診察無しには使えないわけですね。

 

まとめ

最後にデルモベート軟膏についてのまとめです。

効き目の強い良いお薬ですが、副作用に気をつけて使うようにしましょう。

 

  • デルモベート軟膏は“最強”ランクのステロイド外用薬。
  • 重症のアトピー、虫刺されなどに非常によく効く。
  • 皮膚が薄くなる、赤く見えるなどの副作用が出やすい。
  • お値段は1本約37円。ジェネリックなら半額以下。

 

 

 

*1:Green C, et al.  : Br J Dermatol. 2005 ; 152 : 130-141.

*2:Munro DD,et al.:Br Med J. 1975;3:626.

*3:水野 惇子:薬理と治療. 1983; 11:5045.

*4:水野 惇子:薬理と治療. 1983; 11:5043.

はじめまして

みなさま、はじめまして。

 

皮膚科医の立場から、患者さんに皮膚科のくすりや病気のことをわかりやすく解説したくてブログをはじめてみました。参考になったら嬉しいです^^

 

宜しくお願いします!