皮膚科医のお薬/治療解説ブログ

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【皮膚科医解説】「デルモベートクリーム」と「デルモベート軟膏」の違い;ひっかき傷にクリームはダメ!

今回の記事では、「デルモベートクリーム」について、「デルモベート軟膏」と比較しながら解説します。

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(まず「デルモベート軟膏」について詳しく知りたい方は、下記リンク先を御覧ください。)

hifukai.hatenablog.com

 

 

「デルモベートクリーム」と「デルモベート軟膏」の共通点

デルモベートクリームもデルモベート軟膏も、主成分は全く一緒です。

「クロベタゾールプロピオン酸エステル」という「副腎皮質ステロイド」を0.05%含みます。

そのため、効能は基本的に一緒。

いずれも、皮膚の炎症を抑えるために用いる「ステロイド外用薬」に分類されます。

ステロイド外用薬は強さに応じて5つのランクに分類されますが、最強の“I群 Strongest”に該当する塗り薬です。

 

Ⅰ群 Strongest (最強) ← デルモベートクリームはここ!

Ⅱ群 Very strong (とても強い)

Ⅲ群 Strong (強い)

Ⅳ群 Medium (穏やか)

Ⅴ群 Weak (弱い)

 

強力な薬ですので、Ⅱ群以下の塗り薬では効かない“重症”のアトピー、虫刺され、乾癬、ケロイド、 円形脱毛症などに用いられます。

 

ちなみに、お値段は3割負担の方であれば、どちらも1本で37円程度。

またジェネリック(後発)医薬品の「デルトピカ軟膏」や「マイアロンクリーム」などに変更すれば、14円程度とお安いです。

費用面では軟膏もクリームも変わりませんね。

(デルモベート軟膏のジェネリック医薬品についてはこちら↓)

hifukai.hatenablog.com

 

「デルモベートクリーム」と「デルモベート軟膏」の違い

デルモベートクリームとデルモベート軟膏の違いは、主成分以外の添加物です。

それにより、使用感に大きな差が出ます。

一般的に、クリームと軟膏の違いは次のように言われています。

 

  • べとつき感:軟膏 大 > クリーム 小
  • 刺激の強さ:軟膏 小 < クリーム 大
  • 皮膚への染み込みやすさ 軟膏 小 < クリーム 大

 

そのため、「デルモベート軟膏のべとつきが嫌!」という患者さんは、デルモベートクリームに変更すると良いかもしれません。

 

デルモベートクリームの注意点

上で書いたように、クリームには刺激性があります。

したがって、次のような場所には向いていません。

 

・傷がある

・グジュグジュしている(びらん・潰瘍)

 

ここで問題になるのは、そもそもデルモベートを用いるのはかなり重症のアトピーなどの方なので、かゆみによる“ひっかき傷(掻爬痕)”を生じているケースが多いこと。

傷があるとクリームは使用できませんから、デルモベートクリームを塗ってはいけないケースも多くあります。

 

まとめ

では、最後にまとめです。

デルモベート軟膏とデルモベートクリームを上手く使い分けてくださいね。

 

デルモベートクリームは、軟膏と主成分/価格は一緒。

デルモベートクリームの方がべたつかない。

ひっかき傷があるところにはデルモベートクリームは使えない。